一度は廃止されたアスリート

1955年にデビューして以来、14代目を数える日本を代表する高級セダンがトヨタのクラウンです。フルモデルチェンジの際には様々なキャッチコピーが用意され、中でも有名なのが1983年にデビューした7代目で、「いつかはクラウン」。国内市場をターゲットに置いた高級セダンは現在では珍しいため、高年齢層ユーザーの憧れの存在と言えます。

しかし、一度廃止されたものの2003年から継続しているグレードのアスリートは、3.5Lのエンジンを搭載するなどスポーティーな要素が強いため、特に12代目以降のモデルは若年層からの関心も強く、現在生産されているクラウンは幅広いユーザーから支持を得ています。

2012年12月にデビューした14代目の現行型はベースグレードとなるロイヤルを中心にハイブリッドを初めて導入し燃費を大幅に向上させたことで大きな話題を呼び、一気に人気が高まりました。これまでベースグレードとアスリートの外観の目立った違いはテールランプの形状程度でしたが、このフルモデルチェンジを機にフロントグリルを大きく変更したことから、両車の違いがより明確になりました。

2014年7月にマイナーチェンジがなされ、アスリートはスポーティーさをより強く演出したモデルへと進化を遂げ、2Lのターボ仕様、2.5Lの4WD仕様、フラッグシップとなる3.5L仕様のグレード体制が確立されました。ボディーカラーのラインナップにも大幅な変更が見られ、保守的な車の代表格とまで言われた常識を覆すようなパステルカラーの設定がなされています。かつてはタクシーのイメージが印象強い同車でしたが、現在では高級セダンでありながらにして幅広い世代から認知されている国民車へと生まれ変わったと言えます。

そして、クラウンのもう一つの顔といえるのが、日本を代表するパトカーであるということです。入札で有利なトヨタは歴代に渡ってパトカーとして世にたくさん送り出してきましたが、現行型がパトカーとして採用されることが決定されています。現行型のデビュー当初は「ハイブリッドでは条件に合わない」などという理由から、クラウンパトカーもこれで終わりかと言われていましたが、マイナーチェンジによるグレード体制の変更で、条件を満たしたようです。

所轄地域課や自動車警ら隊にはロイヤルの2.5Lの4WD仕様、交通機動隊や高速隊にはアスリートの3.5L仕様をベース車にしてパトカーを生産するようです。「パトカーに高級車はいらない」とよく言われますが、裏を返せば、トヨタが国内市場をターゲットにして長年に渡って生産を続けている同車が高く評価されている証拠ともいえます。